言語 - 世界

言語
言語(げんご)は、狭義には「声による記号の体系」をいう.

広辞苑や大辞泉には次のように解説されている. 『日本大百科全書』では、「言語」という語は 多義である 、と解説され、大脳のに蓄えられた《語彙と文法規則の体系》を指すこともあり、その体系を用いる能力としてとらえることもある、と解説され、一方では、抽象的に「すべての人間が共有する言語能力」を指すこともあり、「個々の個別言語」を指すこともある、と解説されている.

* 人間が音声や文字を用いて思想・感情・意志等々を伝達するために用いる記号体系 . およびそれを用いる行為(広辞苑 ). 音声や文字によって、人の意志・思想・感情などの情報を表現したり伝達する、あるいは他者のそれを受け入れ、理解するための約束・規則. および、そうした記号の体系(大辞泉 ).

* ある特定の集団が用いる、音や文字による事態の伝達手段 (個別言語のことで、英語・フランス語・日本語などのこと ).

* ソシュールの用語「langue ラング」の日本語での訳語.

広義の言語には、verbalなものとnon-verbalなもの(各種記号、アイコン、図形、ボディーランゲージ等)の両方を含み、日常のコミュニケーションでは狭義の言語表現に身振り、手振り、図示、擬音等も加えて表現されることもある.

言語は、人間が用いる意志伝達手段であり、社会集団内で形成習得され、意志を相互に伝達することや、抽象的な思考を可能にし、結果として人間の社会的活動や文化的活動を支えている. 言語には、文化の特徴が織り込まれており、共同体で用いられている言語の習得をすることによって、その共同体での社会的学習、および人格の形成をしていくことになる.

ソシュールの研究が、言語学の発展の上で非常に重要な役割を果たしたわけであるが、ソシュール以降は、「共同体の用いる言語体系」のことは「langue ラング」と呼ばれ、それに対して、個々の人が行う言語活動は「parole パロール」という用語で呼ばれるようになっている.

《音韻》 と 《意味》の間の結び付け方、また、《文字》と音韻・形態素・単語との間の結び付け方は、社会的に作られている習慣である.

言語と非言語の境界が問題になるが、文字を使う方法と文字を用いない方法の区別のみで、言語表現を非言語表現から区別することはできない. 抽象記号には文字表現と非文字表現(積分記号やト音記号など)があり、文字表現は言語表現と文字記号に分けられる. 言語表現と区別される文字記号とは、文字を使っているが語(word)でないものをいい、化学式H2Oなどがその例である. 化学式は自然言語の文法が作用しておらず、化学式独特の文法で構成されている.