ベトナム (Socialist Republic of Vietnam)
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ベトナムの国旗 |
インドシナ半島の東海岸をしめるベトナムの国土は南北に長く、北は中華人民共和国、西はラオス、南西はカンボジアと国境を接する. 東と南は南シナ海に面し、フィリピン、ボルネオ島(マレーシア連邦やブルネイ、インドネシア)そしてマレー半島(マレーシア連邦およびタイ王国南部)と相対する.
南シナ海南部のスプラトリー諸島を「長沙諸島」(ちょうさしょとう、、クァンダオ チュオンサ)と呼称して自国領と主張し、一部を実効支配している. 南シナ海中部のパラセル諸島(ベトナム名は「黄沙諸島」)に付いても領有権を主張しているが、過去にはアメリカ合衆国や中華人民共和国との武力衝突もある.
中国南東岸に住む諸族である百越のうち駱越が南下して、漢・唐の時代には中国の支配を受けたが、10世紀に独立. 丁朝、李朝、陳朝、黎朝、阮朝などの王朝支配を経て、19世紀後半にフランス植民地に編入された. 第二次世界大戦中の日本軍の進駐と戦後の第一次インドシナ戦争を経てフランス植民地体制が崩壊し、国土は社会主義陣営のベトナム民主共和国(北ベトナム)と資本主義陣営のベトナム共和国(南ベトナム)に分裂. ベトナム戦争(第二次インドシナ戦争)を経て南ベトナムの政権が崩壊し、1976年に統一国家としてベトナム社会主義共和国が成立した.
政治体制はベトナム共産党による一党独裁体制である. エコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる民主主義指数は、世界136位と後順位で「独裁政治体制」に分類されている(2019年度). また国境なき記者団による世界報道自由度ランキングも下から6番目の175位と後順位であり、最も深刻な状況にある国の一つに分類されている(2020年度).
人権状況についてヒューマン・ライツ・ウォッチは、政府が言論、結社、報道、信仰など人民のあらゆる基本的自由を制限しており、刑事司法は政府からの独立性に欠け、警察は自白を引き出すために拷問を多用するという人権侵害が極めて深刻な国であることを報告している.
経済面では、1978年のカンボジア侵攻後の国際的孤立の中で国際収支が悪化して経済危機に陥り、干ばつや洪水などの自然災害による食糧不足などが重なって大量の難民を出す事態に陥った. その対策として1986年にドイモイを打ち出し、経済の自由化を進めた. 外国資本の導入で製造業は活況を呈し、南シナ海で石油の開発が進んで原油が重要な輸出品になっている. 他方でドイモイの進展で貧富の格差は拡大している.
外交面ではベトナム戦争以来親ソビエト連邦外交を基調としたため、ソ連と対立する中華人民共和国と関係が悪化. 1977年に国連に加盟するも、1978年に親中反ソ派のポル・ポト政権下のカンボジアに侵攻したため、1979年に中国のベトナム侵攻を招き 、国際的に孤立した. ソ連崩壊後の1991年に中越戦争で交戦した中華人民共和国と、1995年にはベトナム戦争で交戦したアメリカ合衆国と国交を回復し、ASEANにも加盟した. 近年は南沙諸島など南シナ海への実効支配を強める中国との対立が深まっており 、2010年代以降はアメリカ軍やASEANと合同軍事演習を行うなど中国牽制の姿勢を強めている. 2016年にはTPPに加盟.
軍事面では18歳から25歳の男性を対象に兵役期間2年の徴兵制を敷いており 、ベトナム人民軍は50万弱の兵力を有する. 軍事力は軍事ウェブサイトの グローバル・ファイアパワー (GFP) が発表する「2020 Military Strength Ranking」によれば世界22位で、東南アジアでは第2位である.
人口は9762万人(2020年ベトナム統計総局). 住民はキン族(ベトナム人)が約86%を占め、他にミャオ族、チャム族など53の少数民族が存在し、中国人も暮らしている.
通貨 / 言語
ISO | 通貨 | シンボル | 有効数字 |
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VND | ドン (Vietnamese đồng) | â‚« | 0 |