ブリュッセル (Bruxelles-Capitale)
人口116万人(2014年). 面積は161km2と比較的狭く、約30km2の森林地域を除いて、その領域のほとんどが市街化されている.
ベルギーの連邦構成主体の一つであるブリュッセルは19の基礎自治体から構成され、その一つが憲法上の首都であるブリュッセル市(、)である. フランスのパリの20の行政区と比較されることもあり「小パリ」とも呼ばれている. しかし、パリとは違い全体を統括する「市長」がいないのが特徴である(ブリュッセル全体を統括する人物は「」である).
2013年に行われたアメリカのダウ・ジョーンズらによる調査は、ブリュッセルを世界24位の金融センターと評価している. 2019年、アメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界第12位の都市と評価されており、特に政治的評価が高かった.
ブリュッセルはフランス語とオランダ語の公式な2言語地域であり、市民は多数のフランス語話者(85%から90%を占める)と少数のフラマン語話者(10%から15%を占める)に分かれるため、街中にある看板、標識、駅名などは、フランス語、オランダ語の二ヶ国語表示が義務付けられている. 市民は話す言語によって通う学校などが異なり、フランス語、オランダ語話者に対する文教、言語政策についてはそれぞれフランス語共同体政府とフランデレン政府が担当する. ブリュッセルはベルギーを南北に分割する言語境界線の北側にあり 、フランデレン地域の首都でもあり、フランデレン地域の政府と議会が置かれている.
フラマン系とワロン系の2大民族のほかにも、欧州委員会など多くの国際機関があるため、欧州連合加盟国出身者が多く住んでいる. 近年は旧ベルギー植民地(コンゴ民主共和国、ルワンダ、ブルンジ)だけでなくマグリブ(特にモロッコ)、トルコ、イラン、パキスタン、南アメリカなどからの労働者が増えており、国際色豊かで多民族的な地域となっている. 移民は一般にフラマン語ではなくフランス語を学ぶ傾向がある. 言語政策のあおりを受け、1969年には、1834年創立のブリュッセル自由大学はフランス語系のUniversité libre de Bruxelles(ULB)とオランダ語系のVrije Universiteit Brussel(VUB)に分離した.