シリア (Syrian Arab Republic)
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シリアの国旗 |
東西交通の十字路に当たるため、古代からヒッタイト、アケメネス朝、マケドニアなどの支配を受けた. 7世紀に興ったウマイヤ朝がダマスカスに都を置くと、イスラム文化の中心地として栄えたが(661-750年)、続くアッバース朝が都をバクダッドに移すと、その役割は薄れた. 16世紀以降はオスマン帝国の領土となる. 20世紀初頭にフランスの植民地になり、1946年に独立した.
1963年に社会主義路線のバアス党が政権を奪い、1970年に同党の軍部クーデターによりハフェズ・アサドが政権を掌握し、軍と秘密警察を後ろ盾としたバアス党独裁体制が築かれた. 2000年の死去後もその独裁体制は息子 バシャール・アサドに引き継がれ、現在に至っている. 近年は強権的支配への反発が強まっており、アラブの春により2011年にシリア内戦が発生した. 内戦はアメリカ合衆国やロシアなどの外国勢力も参加したことで悪化し、多くのシリア難民を生んだ.
半世紀にわたって独裁体制を維持できているのは、汎イスラム主義と他信仰に寛容な世俗主義という相反するイズムの使い分けによるとされる. ただし、政権批判や反政府活動に対しては容赦ない弾圧を加えており 、エコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる民主主義指数は、下から4番目の世界164位で「独裁政治体制」に分類されている(2019年度). 国境なき記者団による世界報道自由度ランキングも下から7番目の174位と後順位で最も深刻な国の一つに分類されている(2020年度).
外交は反イスラエル・反米路線が顕著であり、イスラエルと数度にわたって戦争を行ない(中東戦争)、1967年の第三次中東戦争の結果、南西国境地帯のゴラン高原を占領されている. イスラエルに対抗してレバノンで活動するシーア派原理組織「ヒズボラ」やパレスチナのスンニ派原理組織「ハマス」への支援を行っている. このことからアメリカ合衆国からはテロ支援国家に指定されている. 1990年代には和平交渉が断続的に行われたが、2000年3月に暗礁に乗り上げた.
経済面では、国の歳入は、東部で産出される石油が1位だが、産出量・埋蔵量とも少ないため、枯渇が深刻化している. ただし、綿花、小麦、オリーブ栽培といった農業の他、繊維、食品加工、セメントなどの工業も見られ、中東諸国に顕著な石油依存のモノカルチャー経済というわけではない.
面積は約18万5000平方キロメートル. 人口は約2000万人で、9割をシリア系アラブ人が占める. イラン語系のクルド人や印欧語系のアルメニア人他も存在する多民族国家である. 公用語はアラビア語. アラブ系国民の9割近くをイスラム教スンニ派が占めているが、現大統領アサドはアラウィー派(シーア派の一派)である. アルメニア使徒教会やコプト正教会など東方教会系のキリスト教徒も1割ほどいる.
通貨 / 言語
ISO | 通貨 | シンボル | 有効数字 |
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SYP | シリア・ポンド (Syrian pound) | £ or لس | 2 |